核だけを、端的に。
全てが一行で表される世界になったら、
理解に割く時間が節約されて、人間は今よりもしあわせになれるんでしょうか。

最短距離で記載される情報こそが最上とされるビジネス書のなかで
デイル・ドーデン著「仕事は楽しいかね」は遠回りする物語の力を見せてくれます。

ビジネス書を読み込んでいる層の読者に向けて語られる、
ビジネスの常識に対するアンチテーゼの言葉たち。

箇条書きで他人の意見を否定して回る本はとても読めたものではないけれど、
物語の中で広げられると、嫌味なくやわらかく入ってきます。

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すべての物語は、箇条書きの対極にあって、
読む人によって受け取り方もさまざまであっていい、と並ぶ言葉たち。

端的になるために、ビジネスに削り落とされた言葉たちが含んでいたもの。
それらを物語がたんねんに拾って、脂肪をたっぷりと揺らしながら、ゆうゆうと歩いていくのです。

箇条書きに節約してもらった時間を使って、
私は今日も、物語を楽しみます。

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